大地も命を持っている

『自然は、沈黙した。薄気味悪い。鳥たちはどこへ行ってしまったのか。みんな不思議に思い、不吉な予感におびえた。裏庭のえさ箱は、空っぽだった。ああ鳥がいた、と思っても、死に掛けていた。ぶるぶる体を震わせ、飛ぶことも出来なかった。春が来たが、沈黙の春だった。』

レイチェル・カーソン著「沈黙の春」の有名な一説です。
1962年、今から40年以上も前に、化学合成された農薬によって自然環境が壊れてゆくことを警告した「沈黙の春(レイチェル・カーソン著)」が出版されました。その後農薬汚染は減ったでしょうか。現在、動植物が毎日何千種類も絶滅しているという学者の調査発表を見るにつけカーソン女史の警告が生かされていないことに気づかされます。
一般的な綿花栽培の畑では、化学肥料、除草剤、殺虫剤、枯葉剤などが大量に使われています。化学肥料は収穫量を増やし面積あたりの効率化をはかります。短期的に見ると、化学肥料や農薬の使用は効率的に見えますが、やがて土壌環境はくずれ、微生物は生きられなくなり、自然な循環による回復力がなくなって、やせた土地に変貌してしまいます。化学農薬漬けの畑は土が固く引き締まってやせてゆきます。

殺虫剤は、綿の実が出来る大切な時期に害虫がつき始め、これを駆除しないと収穫効率が著しく下がります。そこで大量の殺虫剤が使われます。世界中の畑で撒かれている殺虫剤の四分の一が綿畑だけで使われていると言う、にわかには信じ難い報告があります。
一方、オーガニックコットンの栽培では、化学肥料の代わりに野菜のくずや家畜の糞などを土と混ぜ堆肥を作ります。微生物の力を生かす工夫します。
除草剤は使わず基本的に雑草は放って置きますが、事情によっては、あくまでも機械的に又は人の手で刈り取ることもあります。

殺虫に関しては大自然の仕組みを利用して天敵昆虫を使う、虫が嫌う植物のエキスを撒布する、虫が好む植物を畑の周囲に植えて、おびき寄せて駆除する、夜間は電灯に集まる虫がネットに落ちる仕組みの装置を配して駆除します。どれも新しい技術ではなく昔から当たり前に行ってきた方法です。

枯葉剤に関しては、綿の収穫には機械で刈り取るのではなく人の手で摘みますので、葉が青々としていても何も困りません。当然枯葉剤は必要ありません。
豊かな畑の土壌には、スプーン一杯の土の中に10億もの微生物が存在しています。この微生物を排除するのではなく生かす農法に変えてゆかなくてはなりません。微生物がよく働いている畑は、土がふかふかしています。