【NOC】NOCレポート2009

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2009.12.23up

途上国の農薬問題


ウルス ヘイエレリ氏 (St.Gallen大学・経済学者) は、著書の中で以下のように述べています。

コットン産業は、人々に富と不幸をもたらした。
コットンの歴史は、貿易による経済の拡大と同時に世界を同じ資本主義的経済原則に塗り替えていった。 
そして富を積み上げる人々がいる一方、植民地化された地域の人々は奴隷となって苦しむ事になった。
産業革命には光と共に影の部分が、色濃くある。
農薬の過剰な投与による環境破壊があり、アラル海の枯渇に見られるような農業用水の収奪があった。コットンは、歴史的ないくつかの出来事の中でいつも重要な位置にいた。
遥か昔のコットンの素朴な姿はすっかり変わり、荒々しい経済の海に投げ出され、翻弄されてきた。
アンクル・トムズ・キャビンの物語は1852年に出版され、アメリカに限らず世界中の子供たちに、コットン栽培と奴隷の関係を学ばせることになった。
ある年、コットン畑は、重篤な害虫被害を受けて、防衛のためにより強力な農薬が撒かれるようになり、土壌の質は著しく悪化した。
ニカラグアでは、この土壌汚染が顕著に現れた例として有名である。
1977年の時点で22万ヘクタールあった畑が、1980年後半から、農薬漬けと言われるほど殺虫剤を撒き、農地はひどく荒れ、採算の合う畑は、極端に減り、現在、往時の1%の2千ヘクタールでしか栽培できなくなっている。 
「Here Farmer and Fashion Designer Meet・Globalisation with a human Face in an organic cotton value chain」By URS HEIERLI」


発展途上国の農薬の問題は、貧困による教育機会の格差にあります。格差は支配層と支配される側をくっきりと分けます。支配層の意向がそのまま、支配される側の農民に伝わり、不利な取り引きでも農民は甘受せざるを得ないことになります。

取り仕切る側は農薬会社と農民の間に立って、自分達に有利になるように農薬の選定をし、農業指導をしてゆきます。途上国の農民の多くは農薬の取り扱いについての理解が十分ではなく、重篤な健康被害に繋がります。

Croplife International aisbl(国際農薬工業会)は、農薬の会社が組織する団体ですが、問題点を次のように指摘しています。

農薬散布の作業で着た服の洗濯が十分ではない、作業後食事の際に十分手を洗わないという衛生観念に問題があるとしています。またコストの安い農薬を求めて、地元農薬会社が作る安い農薬を使う、多くの場合、特許期限が切れて安易に作られ、危険性の配慮に欠けた毒性が強いものを使ってしまうとしています。

また、途上国の問題ではいつでも煮詰まったかたちで現れるのは、
そこに生きる子供たちへの被害です。

UNEP(国連環境計画)、FAO(国連食料農業機関)、WHO(世界保健機構)
が共同で2004年10月5日にローマで報告書を発表しました。

「Child Pesticide Poisoning :Information for Advocacy and Action
   ・子供の殺虫剤中毒:問題提議と行動のための情報」

途上国の農薬問題子供たちは大人よりも農薬の深刻なリスクに直面している。農薬中毒は特に幼児や子供たちの健康に強く影響を及ぼす。特に途上国においては、これらの化学物質からの防護をもっと強化する事が必要。毎年、100~500万件の農薬中毒があるとみられ、そのうち数千人の死亡者のうちにかなりの数の子供がいるとみられている。中毒の大部分は途上国の農村で起きていて、安全対策が不適切。途上国の農薬使用量は、世界の農薬製造量の25%であるに対して途上国は、世界の農薬中毒に起因する死亡の99%を占めている。子供の身体は大人より害毒に対して強く影響を受ける。子供は農薬の害に対して無知で時には遊び道具にしてしまう事もある。慢性的な栄養失調と汚れた水を飲んで起こす下痢による脱水症の子供は特に農薬の害毒に弱い。現在2億人の子供が慢性的な栄養失調に苦しんでいると報告しています。

以前、インドの綿産地を訪れた時に、オーガニック農業に転換を勧める仕事の担当者と一緒に、一般の農業をしている農家に行きました。その時見た光景は忘れられません。使用済みの空の農薬の容器を子供たちがサッカーのボールの代わりに蹴り合っていました。また別の農薬の容器には水が入っていました。何に使うのか判りませんが、このように農薬は生活の中にすっかり溶け込んでいて、その毒物としての意識が無い事に驚きました。

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日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮崎 道男
2009.12.23.

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2009.12.2 up

アメリカの綿花畑の減農薬運動


DDTという万能な殺虫剤が1948年にノーベル賞を受賞し、量産され一気に普及しました。
(DDT:Dichloro Diphenyl Trichloro ethane・ジクロロジフェニルトリクロロエタン)
1950年代は、化学合成の農薬が盛んに使われた時代でした。1962年に、レイチェル・カーソンが「沈黙の春・Silent Spring」を著し、DDTはじめ化学農薬が魚や鳥など野生生物に蓄積してなんらかの悪い影響があることを指摘しました。1965年FAO(国連食料農業機関)は、作物栽培に使われる殺虫剤の害について昆虫学者など専門家を集め討議し、一つの提言を発表しました。

あらゆる適切な防除手段を相互に矛盾しないかたちで使用し、経済的被害許容水準以下に有害生物個体群を減少させ、かつその低いレベルに維持するための個体群管理システム

(出典:岡山大学農学部学術報告Vol.97より)

この提言ではまだ、環境保全という考え方は薄く、無闇やたらに殺虫剤を使うのではなく効果とコストが矛盾しないように害虫をコントロールするということが唱えられています。
結果として殺虫剤の使用量が減る方向を示すことになりました。
その後アメリカのIPM(Integrated Pest Management・総合病害虫防除管理)計画に受け継がれてゆきます。

(出典:日本綿業振興会機関紙コットンプロモーションコラム52,53より)


1972年にニクソン政権がIPM計画を表明し、1979年カーター政権では連邦政府関係省庁の取り組みを整備し、1993年クリントン政権で、アメリカ農務省として7年後の2000年までに全農家の75%がIPMを取り入れる目標を掲げました。
アメリカの綿花畑の減農薬運動写真提供/財団法人 日本綿業振興会農務省環境保護庁EPA)が中心となって、農薬使用の削減の計画を進めてゆきました。
具体的には、オーガニックコットンの農法と同じような方法です。
輪作、天敵昆虫の活用、堆肥作りです。但しアメリカの220万の農家をこの方式に換えるには、いくつものハードルを越えなければなりません。


アメリカの綿花農家の一戸当たりの平均耕作面積は1200ヘクタールです。この面積は東京の千代田区の面積1164ヘクタールに匹敵します。東西は秋葉原から麹町、南北は飯田橋から日本橋です。想像してみてください、この地域が一面、白い綿花に覆われるところを。これほどの広い畑の隅々まで管理する事の大変さが判ります。

2001年に普及率を調査してみると70%というまずまずの結果が出ましたが、全米の農家の農薬使用量は、1992年と2000年を比較して4%(1812万トン)増加しているという結果が出てしまいました。農薬使用削減よりも総合的な農業技術の改善や監視のシステムの方に重心が移ってしまった結果でした。こうしてみると、大規模な農業で収穫量を維持しながら農薬を削減してゆくことの難しさが判ります。

成功した例もあります。1996年にカリフォルニア州のサンホーキン綿作地域で農薬を減らそうというプロジェクトが始まりました。プロジェクト名は
BASIC(Biological Agriculture System in Cotton,生物学的綿花栽培システム)です。
現在はフレズノマデーラメルセドの三つの地域で800ヘクタールで栽培が行われて減農薬に実績を上げています
カリフォルニア大学がサンフォーキンバレー北部地域で綿花生産でどれだけ農薬が削減されたか調査しました。1996年と2001年の比較の結果、殺虫剤の使用が38%減ったという結果になりました。

IPMの計画は、害虫防除の方法に変化がありました。天敵昆虫の利用や生殖制御成長制御行動制御の農薬が使われます。これらの効果は従来の殺虫剤と比べると効果は薄いものの組み合わせて使うと効果が同等に高められ、害虫に従来問題になっていた農薬抵抗性ができないため農薬使用回数が減ることになります。
そして農薬を減少させるもう一つのテクノロジーとして出てきたのが遺伝子組み換え技術です。1973年にアメリカで成功した技術で、その後急速に普及し2008年現在、全世界の大豆作付け面積の70%、トウモロコシで24%、綿花で46%、菜種で20%がGM遺伝子組み換え作物となっています。

(ISAAA・International Service for the Acquisition of Agri-biotechApplications 調査)

遺伝子組み換え技術は、その作物に遺伝子操作をして、害虫に強いとか、害虫を殺すとか、除草剤に強い作物に変えて効率よく除草剤を使えるようにしたものです。万能殺虫剤のDDTがピンポイントの殺虫効果に進化したともいえます。
しかし現在までに決定的な被害が出ていないため普及は更に進んでいますが、長期的にみて、自然環境やヒトの健康への悪影響の不安も大きくなっています。
EU欧州連合では、EFSA(欧州食品安全機関)が遺伝子組み換え作物を禁止していて、1998年以降存在していません。

オーガニックの作物の栽培規準では、もちろん一切認めていません。

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日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮崎 道男

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2009.11.10 up

健常者が学ぶ ~化学物質過敏症対策より


ちょっとアレルギーの気があるけど特に生活に支障はない、という人は多いと思います。ホームセンターや家具屋さんにゆくと頭の芯が痛くなるとか、芳香剤を嗅ぐと気持ち
が悪くなるとか、埃や花粉に反応してくしゃみが止まらない、鼻水が止まらないという人の数は、一説には3,000万人と言われ、日本人の三分の一は、アレルギーと言うことになります。

去る10月1日に10年に及ぶ医療関係、患者さんが組織する団体その他関連の皆さんの努力が実って「化学物質過敏症」という病名が、正式に厚生労働省に登録され自費診療から保険診療への道が開けました。NOCは一貫してこの運動を支援してきましたので、患者の皆さんと一緒に喜び合うことができました。

これに伴って東京都内で、いくつかのシンポジウムが開催されました。どれも定員を超える盛況でした。専門の医師の皆さんの講演を聴いて、一般の健常者の皆さんにも参考になる点をお知らせします。

●化学物質過敏症は、決して珍しい病気ではない。70万から90万人にのぼるといわれている。「中村」と言う苗字が大体これくらいの人口です。そう考えると結構多いのではないでしょうか?

●検査機器の精度が上がってきて解った事は、健常者と患者の差がはっきりしなくなった、化学物質に影響されていない人がいなくなったという報告がありました。単に発症するかしないかの差でしかないとのことです。

●患者さんは10億分の一というナノレベルの微量な化学物質によって身体に異常を感じていますが、健常者が飲むビタミン剤や頭痛薬の作用する濃度は、まさに同じナノレベルで効いています。化学物質は、元来生体にとってダメージになりますから、違和感を感じていなくても確実に身体には悪影響を与えているということになります。感じないということは、知らずに沢山の化学物質を身体に取り込んでしまい、化学物質過敏症にならなくても違う形の病気となって現れる事になる可能性があります。

●シックハウス症候群は2002年に厚生省が示した化学物質の規制13物質の室内濃度指針値が功を奏して、確実に減ってきましたが、入れ替わるように化学物質過敏症は増え続けています。生活の中に化学物質が、沢山取り込まれているということです。

●身体の異常は目に表れる。アメリカの警察は飲酒運転のチェックに、眼球テストと平均台テストを行うが、化学物質過敏症のテストも同じテストをする。眼球が左右上下に自由に動くかどうか。縞模様が鮮明に見えるかどうか。瞳孔が異常に縮小していないか、直立して重心が不安定にならないかテストします。
●腸壁が荒れると、化学物質が体内に蓄積されやすくなる。腸は、脳と神経が繋がっているので、精神作用が腸に影響しやすい。そこで過度なストレスを避けなければならない。また、大食、早食い、便秘、刺激性の食品は腸壁を荒らす原因になります。

●化学物質過敏症を国や医学界に認めさせる努力は、「心因性ではない」事の証明でした。1956年熊本県水俣市で起きた公害病水俣病も当初は心因性として扱われ、調査が進みチッソ(新日本窒素肥料)の工場廃液の中のメチル水銀化合物であることが突き止められました。アメリカの湾岸戦争の帰還兵の多くが、化学物質過敏症の疑いがあるにもかかわらずもっぱら心因性治療を施しているので回復しないと見られています。化学物質過敏症も、一般の病院では心因性と診断され、鎮静剤を処方され症状を悪化させられるケースもあります。原因化学物質の特定が最大の課題です。

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日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮崎 道男
2009.11.10.

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2009.8.3 up

ラブアンドセンス主催のフェアトレードセミナーに参加して・・・


6月29日東京、恵比寿のセブンという200人ぐらいの小さい会場でセミナーは開催されました。

来場者は、先日の児童労働反対シンポジュームの時と同じようにオシャレな感じの若い女性が三分の二を占めていました。
ネクタイをして背広で参加したのは、宮崎ただ一人でした。後ろめたく感じました。

このセミナーのタイトルが「混迷の時代だから考えよう。フェアトレードで新しいマーケットは作れるのか」でしたのでさぞかし背広ネクタイ族が多いかと思っていました。

セミナー講師は、主催者の高津玉枝さん東京経済大学の渡辺龍也さんチョコレボの星野智子さん博報堂の多田敦洋さんの面々でマーケティングの専門家がほとんどでした。
ラブアンドセンス主催のフェアトレードセミナーに参加して・・・
フェアトレードを考える場合、突き詰めると関連の商品をどのように普及させるのかというのが大命題で、まさにマーケット戦略をどう組み立てるかに掛かっています。
その意味で大変興味がありました。

掻い摘んで、お知らせしてゆきましょう。




あなたの会社のフェアトレード取り込み度はどれ位ですか?
 という設問にどう答えるか。以下のような段階で示す事ができます。

レブル1
FT(フェアトレード)品を自社内で消費する。FT団体に寄付する。
レベル2
FT製品を販売する、提供する。
レベル3
FT製品を自社ブランドで販売、提供する。
レベル4
自社のサブカテゴリーをFT製品に転換する。(例えば、取り扱い品のカテゴリーとしてコットン製品はすべてFT品にする)
レベル5
生産者の支援、消費者への啓発活動、基金を作る。
レベル6
会社の経営方針にFTの考え方を取り入れる。
レベル7
会社の事業そのものがFT製品で占める。


日本におけるラベル付きFT(フェアトレード)製品の売り上げが
 年々30%の伸び率を示している。
2004年4億円 → 2008年14億4000万円
ラベルのないFT製品は67億円となり、
この数年で800~900億円の市場規模が予想されている。

チョコレボ実行委員会発表のアンケート調査1】

フェアトレードを認知している人、412人を抽出してプロフィール分析した。
調査期間 :2007年4月12~14日
調査対象 :インターネットにより全国の18~69歳までの男女
                (実査機関 ㈱マクロミル)
調査結果概要

フェアトレード認知者は30代女性(30.3%)が中心で、40代女性(17.7%)が多め。
関東エリア在住者が多い。
事務系の会社員が22.1%と多く、学生はやや少ない。
年収は500-700万円の人がボリュームゾーン。
情報源としてテレビ15.5%、新聞14.1%、雑誌12.6%店頭10.9%、インターネット9%
認知暦3~5年前から知っている人が30%1~2年前から知っている26%、一年未満、最近知った29.1%*急速に認知度が上がっていることが分かる。
FT商品を買った人36.2%FT商品を見たことがない23.5%*店頭、DM、インターネットで商品の販売が少ないことが分かる。
どこで買うか。自然食品店36.2%、FT専門店26.2%カタログ通販21.5%
購入した事がない人の意見
・近くに買える店がない。
・スーパー、コンビニで販売して欲しい。
・店頭などで、どれがFT商品かが、分からない。

*フェアトレードの表示が十分に行われてない。

・価格が高い。

チョコレボ実行委員会発表のアンケート調査2】

調査地域  :日本全国
調査対象者 :20~59歳の男女 1040人サンプル
調査方法  :インターネットアンケート
調査時期  :2008年11月

調査結果

認知度
FT( フェアトレード)が貧困救済、環境問題であることを正確に理解している人。
17.6%

* 認知度が15%を超えると普及期に入ると云われているので、
  一気に理解が広がる可能性が出てきた。

関心度
FTについて認知している人も認知していなかった人も含めて、フェアトレードに関するの説明文を読んで関心を持ったかどうかの回答結果。
関心が強い人27.7%・関心を持った人51.8%・無関心の人20.6%

* 認知度調査の17.6%の人のうち55%が女性、
  関心度調査の強い関心を示した27.7%の人の内65%が女性でした。
  マーケットとみるとやはり女性を中心に考えることが必要。

[所見]

物が売れない」という悲鳴があちこちから聞こえてくる昨今、今度の不況がいつまで続くのか
ビジネスの世界は大きな不安の中にいます。
いち早く顧客から選別してもらうために何をすればいいのか。

ひたすら低価格路線を突っ走るグループは、大きな話題をさらってはいますが、ファッションの本質である身を飾り、高く評価されたいという欲求からは異なる方向に向かい、ティーンエイジ中心の若年層をにぎわすだけで、決して全体の景気を引っ張る力になっているようには見えません。

ファッションは単なる服ではなく、その製品に盛り込まれたストーリーの豊かさの表現です。デザイナーのテーマであり、素材のこだわりです。そこで、環境活動や社会貢献を取り入れて新しい価値として顧客にアピールするようになりました。

コーズマーケティング」と新しい言葉が使われ始めています。
ボルビックのボトルウォーター「ワンリッターフォーテンリッター」、王子ネピアの「ネピア千のトイレプロジェクト」、森永乳業の「エンゼルスマイルプロジェクト」などが挙げられ、
競合各社を抜き、業界ナンバーワンを取るという予想以上の成功に沸きました。

この成功は、他のどの会社も見逃すわけがなく、自社でどう取り組めるか必死の議論が戦わされています。

ただし、議論を突き詰めてゆくと、

・FT商品は、直接的な客寄せのネタにはならない。
・トレンドと捉えるには地味である。
・単なる商品ごとの社会貢献活動では薄っぺらに見えてしまう。
 逆に企業全体で取り組まないと何かの罪滅ぼしではないかと疑われる可能性さえある。

など、直ぐに飛び込めない要素がいくつもあるようです。

要するに、次世代の顧客作りマーケティングとして中長期の視野が必要ということでしょう。
これこそ企業や商品のブランディング活動の一翼を担うというものと考えるのがいいようです。

企業の販売の現場の危機感が、上層部には届き難く、FT商品を取り入れると、
日常の業務以外の煩雑な問題を沢山抱える事になり、合意が得られず、FTの提案が悉く潰されているのが日本のビジネス界の現状のようです。

ただ、ある時点で雪崩を打つように参入する日本企業のお決まりのパターンが起こる可能性は大きいと思われます。
来年か?はたまた再来年か?

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日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮崎 道男
2008.7.1.

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2009.7.22 up

コットンの品質は繊維の構造と太さで決まる(COTTON SCIENCE)



コットンの品質は繊維の構造とその細さで決まる。つまり繊度、マイクロネアである。繊度は簡単に言えば繊維の太さであるが、これを測ろうとしても難しい。あまりに細いし一本一本は太さにバラつきがある。

そこで考えられたのが繊維を直線状に並べ、一定の太さのパイプの中に詰め込み、一定量の空気を流し、空気抵抗の数値を出す。太い繊維だと密度が薄くなるので空気の通りはよくなる。すなわち空気抵抗は少ない。これに対して細い繊維の束だとみっちり入るので空気の通りは悪い。空気抵抗は高いということになる。

例えばマイクロネア繊度3.5という繊維は一本の長さ1インチの重さが3.5マイクログラムと呼ぶ事になっている。正常な繊度は3.5~4.9でこれから外れると値引の対象になる。プレミアムがつくものは3.7~4.2。超長綿で3.5~3.7級だと光沢もあり強度も良いので珍重される。

マイクロネアは、糸としての粘り強さ、引っ張り強度の性能に関係がある。マイクロネアは、種の遺伝的特性よりも栽培の環境条件に影響される。但し種の選別で多方面からのものを使うという行為に意味がないということではない。多少差は出る。

マイクロネアの数値は、売買において大変重要で、例えばマイクロネアの値が5とするとポンド当たり3.5セント値切られる。ベール当たりにすると17.5ドルにもなる。そこで色んな素性の種を使い栽培し、品種的特性が片寄らず平均的に2%マイクロネアの値が良かったとすると、マイクロネア値は4.9となり値引きされずに済む。

このようにマイクロネア値は、栽培農家にとって、収入に係わる大問題である。そこで種の選定には神経質になるのも頷ける。また、刈り取りのタイミングでも異なる。早い時期のものはマイクロネア値は良いが、後の方になるとかなり落ち込む。刈り取シーズンの中間頃が最も安定してマイクロネア値も最良になる。その期間の最後の方の落ち込みも少ない。最後の刈り取りでは、やはりマイクロネア値は低くなる。 同じ品種の種でもマイクロネアに違いが出るのは前述のように、栽培期間の温度、湿度、日照、風の状況など環境条件による。

・・・このように、綿花は、品質が農家の収入に直接影響することから、色々な工夫がされています。時には品質を上げる農薬があれば利用するでしょう。整地し、春に種を撒き5ヶ月かけて収穫する。大きな投資と労力をかけて、天候を気にしながらリスクを掛けた大変な仕事です。農薬でも何でも使って経営を維持したいという気持ちはよく分かります。

その一方で環境を傷めたくないと、更に更に大きなリスクへの覚悟を持ってオーガニック綿花を育てている農家の人たちのご苦労を考えると、尊敬の念でいっぱいになります。オーガニックコットンの品質はこの15年の間に格段に向上してきました。
みんなで拍手を送りましょう!

出典
*ハル・ルイス博士のレポートより (Dr.Hal Lewis)ルイス博士はアメリカのアーカンソーデルタにおいて30年以上にも亘る綿花栽培実験を続け、最も信頼の高い研究者として認められています。
*一部、日比暉著「なぜ木綿」より転載

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日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮崎 道男
2009.7.22.

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2009.7.21 up

独立行政法人中小企業基盤整備機構による
オーガニックコットン調査について


オーガニックコットン含有率に関する適正な表示ルールのあり方に関する調査事業


各業界新聞で発表されていますように、経済産業省はオーガニックコットンの規準作りをする方向で調査を行いました。

1992年にオーガニックコットンの普及の仕事を始めてから17年、普及啓蒙活動を続けてきましたが、やっと政府としてオーガニックコットンを独立した一繊維素材として認知して、正当な価値を与えようとしています。
NOC/グループ企業カード経産省はこの規準作りの目的に消費者を偽装疑惑の不安から守るという事と同時にNOCグループ企業のように真面目に取り組む企業を不正直な企業と区別して、結果として支持してゆくということも挙げています。いづれにしても大いに歓迎すべきこととして、NOCは協力してゆきたいと考えています。


(独)中小企業基盤整備機構のホームページに報告書が掲載されています。
LinkIcon中小企業基盤整備機構

昨年2008年から今年の3月にかけて、3回の委員会が催されました。

出席された各人は、それぞれの立場でオーガニックコットンへの考えを発表していました。

NOCとしては、オーガニックコットンは常に100%であるという基本的な考え方や、加工処理に関しては、化学物質過敏症の医療関係機関との取り組み患者さんへのサービスについての具体的な例を示し、製品の安全管理について報告しました。

今後、経済産業省は、年内に表示に関するガイドラインを示し、来年には更に踏み込んだ基準を決めてゆくものと思われます。

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日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮崎 道男

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2009.6.18 up

人工化学合成とオーガニック


石油化学合成品は、自然界に元来存在しない人工物ですから、自然環境面、人体安全面で問題を起します。大自然の生態系の循環の環のなかに入れず異物として害を及ぼします。

人体に対しても同じ事が言えます。

化学無機化学有機化学とあり炭素が絡む化学を有機化学と呼びます
炭素はあらゆる生物の身体を構成する要素です。燃えると炭になります。

有機化学の原料の石油は、元来生物の死骸の変化したものです。化石燃料といいます。

石鹸は5000年も前にガリア人が発見したと、帝政ローマ時代の大プリニウス「博物誌」の中に書かれています。

ローマ時代、サポーの丘の神殿で、動物を神に捧げる宗教儀式があり、祭壇の上にヤギを載せ、薪で燃やしました。その時薪の灰と肉の脂が混ざって固まりができました。

その固まりは手にとって見るとヌルヌルしていました。水で洗い流すとなんと手の汚れも一緒に落ちました。石鹸の誕生です。灰はアルカリ剤です。油とアルカリ剤で石鹸ができるという事です。

石鹸の役割は何か?「界面活性効果」を持つものと云えます。

画像 015.jpg界面活性剤とは油と水の界面を壊して混ぜる効果を云います。服に付いた落ち難い汚れは身体から出る油分です。その油分を取り除くにはまず溶かさなければなりません。

溶かす作用を乳化界面活性作用といいます。

「界面活性剤」と言うと毒だと誤解している面があります。
毒性があるとかないとかは関係ありません。


人の身体の胆臓から出る胆汁液は、食べ物の油を溶かす役割がありますから、界面活性剤です。

油に食酢は混じりませんが卵の黄身を混ぜると乳化して、マヨネーズになります。卵の黄身は界面活性剤の役割をしているのです。

そこで合成界面活性剤がよくないというのは人工化学合成だからという理由です。

その天然自然の油は沢山取れないのでコストが高い。そこで石油燃料の精製後に出る油を使えば安く済む。事ほど左様にということで石油化学合成が爆発的に発展しました。農薬も洗剤も化粧品も化学工業から出てきています。

エコロジーの世界では、「生分解性」といって形あるものが使い終わったら、微生物によって分子の段階まで分解されることを重視します。
分解しなければ「汚染物」としていつまでも残ってしまいます。

人工合成のものは、微生物にとって扱い難く、十分に分解する事が出来なくて、残存してゆきます。土壌にも植物の中にもそしてヒトの身体にも残存してゆきます。

オーガニックコットンは、突き詰めて云うと、
「微生物が元気に働ける安全な地球環境を守る」という運動なのです。

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日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮崎 道男

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2009.4.28 up

オーガニックコットンに対する消費者意識調査



独立行政法人中小企業基盤整備機構は、繊維産業に係る平成20年度情報関係事業「オーガニックコットン含有率に関する適正な表示ルールのあり方に関する調査事業」の報告書を公表しています。LinkIconhttp://www.smrj.go.jp/keiei/seni/info/pub/046150.html

その中に一般の消費者に向けてアンケート意識調査を実施しています。
大変参考になる内容です。ポイントアウトして編集しました。

【NOC】日本オーガニックコットン流通機構 理事長 宮崎道男

  • アンケート方法
    • ・インターネットによる呼び掛け
  • 実施時期
    • ・2009年2月
  • 対象消費者の絞込み
    • ・モニター数 40~50万人
    •  *アンケートに答えるとポイント加算されるメリット。
    • ・無作為に4万人を抽出
    • ・オーガニックコットンに全く関心ないと応えたモニターをスクリーニングして
    •  2,000人を年齢別に振り分けてアンケート調査を行った。


1.オーガニックコットンの認知度


●よく知っている、まあ知っていると答えた回答者の%の合計を男女別、年齢別にランクしてみた。

女性

1位
30歳代  55.0%
2位
40歳代  52.5%
3位
50歳代  46.0%

男性

1位
30歳代  22.8%
2位
40歳代  21.1%
3位
20歳代  21.4%

*女性の各年齢層の中で半分以上の人たちが認知している。

2.オーガニックコットン製品の購入経験と購入希望

●全体の回答

 オーガニックコットン製品を買ったことがある。 25.7%
 オーガニックコットン製品を今後買ってみたい。 53.4% 
                   合計    79.1%

●AとBの回答の合計を年齢層別にランキングしてみた。

<年齢別順位>

女性

1位
50歳代  86.5%
2位
30歳代  84.0%
3位
40歳代  83.0%

男性

1位
50歳代   79.0%
2位
60歳以上  75.0%
3位
40歳代   74.5%



3.なにを購入したか

1位
タオル、ハンカチ 57.4%
・女性が多い
2位
下着 31.5%
・男女とも40歳以上が多い
3位
Tシャツ 31.1%
・男性が多い
4位
寝具 23.3%
・男女同率
5位
ベビーウエアー 21.7%
・女性が多い
6位
化粧用コットン 20.3%
・女性が多い

オーガニックコットンに対する消費者意識調査



4.オーガニックコットン製品を購入の際どんなことを確認したか

1.
手にとって品物をよく見て確認した。 61.0%
・男女とも50歳以上が多い
2.
認証のロゴやラベルを確認した。41.2%
・平均的
3.
商品のブランド、メーカー名を確認した。24.2%
・20,30,40歳代の男性が多い



5.オーガニックコットンのイメージ

1位
農薬を使わないので環境によい 62.8%
・平均的
2位
製造段階で有害な化学物質を使わないので身につけて安心58.4%
・平均的
3位
肌触りがよい 54.6%
・高年令層が多い
4位
アトピーの肌に優しい 47.1%
・高年令層が多い
5位
製造段階で有害な化学物質を使わないので環境に優しい 44.4%
・女性が多い
6位
農家の人々の健康被害がない 25.8%
・女性が多い


6.オーガニックコットン商品の製品ラベルに記載して欲しい情報は何か?

●最も記載して情報

1位
35.3% 素材の含有率
2位
17.1% 製品のメリット
3位
16.3% 原産国名


*コットンの含有率に関心が強いのは高年齢層で、オーガニック製品のメリットへの関心が強いのは20代の男女に突出して多いのには注目すべきである。イメージだけでなく商品の説明を読んでいるのである。


7.適正と思われる価格設定について

●オーガニックコットン製品の価格設定で通常市販の同品質の製品に対してどのように感じているか

<設問>
A.高すぎると感じる価格        上限価格
B.安すぎて品質を疑う金額       下限価格
C.安いと感じる金額          理想価格
D.高いと感じる価格          妥協価格

1,000円の市販タオルに対して

上限価格
1,250~1,300円
下限価格
1,000~1,050円
理想価格
1,050~1,100円
妥協価格
1,150~1,200円

10,000円の市販衣料品に対して

上限価格
10,500~11,500円
下限価格
9,500~10,000円
理想価格
10,000~10,500円
妥協価格
10,500~11,000円


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日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮崎 道男

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2009.3.17 up

これって不良品ですか?

これって不良品1.jpg
この写真は、異物混入を理由に返品された商品です。オレンジ色の目印のシールの下にうっすらと影のように異物が見えます。
この生地に使われている糸に2ミリほどの色の付いた繊維が絡んでいます。
小売り企業の品質管理の人たちは、このような欠点を決して見逃しません。
お店の威信に掛けて探し出します。
どうしてこんなことが起きるのでしょうか?


それは購入する方々が、あまりに厳しくお店にクレームしたり返品をするからです。

「日本の消費者は、世界一厳しい目を持っている」とよく言われます。これは誇るべきことなのか?反省すべきことなのか?そろそろ考える時代が来ているように思います。
製品の特質を理解して「寛容」な眼を持つ事も、エコロジーの面、健康安全の面で結局消費者に有利になります。

消費者の意識が優秀な製品を磨き上げるというのは事実です。日本の工業製品の機能性や品質安定性は世界で最も高い評価を得ています。
一般衣料品も工業製品として捉えられています。何万着という大量の服をサイズ、形、色ぶれ、異物、織キズがなく仕上げなければ激しい競争には勝てません。メーカーは、まず小売り企業の、品質検査をパスするための手立てを行います。その「手だて」は多くの場合、化学薬剤を使って幾重にも加工処理されています。
本来天然の農産物であるコットンですから、異物はあり、色合いや質に「ばらつき」があるのは当然です。その「ばらつき」を無くすのが現代の薬剤浸け工業製品としてのコットン製品なのです。

NOCのオーガニックコットン製品は、この手法とは全く逆を行くものです。
コットン本来の性質を壊さないよう最小限の加工に留めます。漂白も染色もしないため、コットンの色はそのままですし、除去し切れなかった異物もそのまま見えてしまいます。

異物には二種類あります。
一つはコットンの枯れた葉などの破片で黒い粉に見えます。これを「綿カス」と呼びます。
もう一つは、「飛び込み」と呼び、綿花から糸そして布地になる加工工程で混じり込んでしまう浮遊する繊維です。作業員が着ている服が機械の端に引っ掛かかり、ほつれた糸が綿に混じるなんていうことも起きるでしょう。

これって不良品2.jpgそれから、右の写真をご覧ください。
これはアフリカ・タンザニアの綿畑の極く日常の場面です。
白い綿が、色柄のある布地に包まれています。この包みは綿繰り工場に運ばれます。例えば、工場の貯蔵庫に投入される時、その時たまたまこの包みの布地の3ミリほどの糸が一本、綿に混じったとします。するといくつもの工程を経るうちに、その色の付いた糸の破片は、ついに肉眼では見えないくらい細かい繊維に分解されて拡散します。


色のある異物の繊維が何百キログラムの紡績糸の中に広く分布してしまいます。
異物除去の工程もありますが、ミクロン単位のこのような異物は、到底取り除けません。

以上のように天然物を、人の手で野外又は、開放された工場空間で作業する場合、異物の混入を避けることは不可能です。そこで、一般の綿製品は、異物を理由に返品されては困るために漂白などの化学処理を念入りに行うわけです。
NOCのオーガニックコットン製品は元より漂白せず、そのような欠点を隠さない生成りを尊重しています。これは製造メーカーにとっては大変不利なことなのです。織りや編みの機械やその周囲の清掃、異物除去を念入りに行うことが必要です。

生成りの製品は、化学処理がないため、安全性が高く、綿の本来の風合いを楽しむことができるということから、近年「生成り」の製品を喜ぶ方々が増えています。この方々は以上のような異物混入に対して「寛容」になっていただきたいと思います。
極くわずかな異物のある製品を不良品としてみるということになるとその部分を切り捨てたり、立派な製品が廃棄されたりと大きなロスとなります。メーカーはこのロス分も全体のコストに織り込まなくてはならなくなります。結局価格は上がり、消費者にとっての負担になります。そして資源やエネルギーの無駄、過度な化学処理による汚染にも繋がります。
綿に限らず農産物の食品でも同じことで、規格にあまりにこだわり、無駄に廃棄している事実があります。これからの消費者は、理性的に製品の特質を理解して行くことが大切です。 

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日本オーガニックコットン流通機構
理事長 宮崎 道男
2009.3.17.

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